債務整理をして一番よかった事
債務整理とは、借金を減額したり帳消しにすること
4年前に、債務整理をしました。
債務整理は、返済が苦しくなった借金を、法律家の力を借りて減額や返済計画を立てる、もしくは帳消しにすることで、任意整理、個人再生、自己破産の3つの種類があります。私がしたのは「任意整理」です。
任意整理は、弁護士が代理人となって債権者(銀行や消費者金融、クレジットカード会社)と交渉し、利息の支払いを無くしたり、毎月の返済額の減額といった事をしてくれるものです。
弁護士と債権者との間でやり取りが行われ、裁判所を通すことはありません。逆に、個人再生と自己破産は裁判所を通し、手続きも任意整理に比べて非常に複雑です。
そのため、任意整理は、借金で生活が困難になった時、選ばれる借金整理法の代表的なものです。
任意整理をするメリットは、 以下になります。
- 利息の支払いがカットされる
- 毎月の支払い額が減る
- 債権者からの取り立てや催促が止まる
- (過払い金がある場合)過払い金が戻ってくる
となります。
これだけ書くと聞こえはいいですが、メリットだけであれば、借金している人誰しもがやるわけで、当然ながらデメリットもあります。
- 新たにクレジットカードは作れない
- 新たな借り入れ先から借金は出来ない
- 既存のローンやクレジットカードの増額はできない
- 銀行が交渉相手の場合、口座が凍結される
- クレジットカードが会員停止になる場合がある
などです。
任意整理はこんな風に進みます
私は、積もりに積もった借金の返済が追いつかなくなり、延滞してしまうようになります。
特に、30万円程の延滞となってしまったクレジットカード会社があり、この会社の担当者といつ払ういくら払うといったやり取りを電話で何度かしました。多少、厳しい言葉も飛び交いながら、〇日までに返済することになりました。
しかし、〇日が迫っても支払うお金が用立てできません。
それまで何とか返済をしてきたものの、もはや万事休す…と観念し、インターネットで任意整理を調べ、借金問題で実績もあり評判もよい弁護士事務所に電話します。
そして、まさにクレジットカード会社と取り決めていた〇日に、弁護士事務所を訪れました。
事前に電話でなかなか予約が取れなかったのですが、何としても〇日までにお願いしますと繰り返し、何とか予約を取ってもらいました。
私の必死感を感じ取ってくれたのでしょう、電話口の女性は、
「〇日にお待ちしています。借金問題のプロですから、色々心配でしょうけど安心してくださいね」
と言われ、非常に心強く感じた記憶があります。
当日、弁護士事務所を訪れると、面会室に通されます。そこに登場するのは、弁護士でなく、事務員です。
お互い自己紹介をした後、一時間くらい、以下のようなことを細かく質問されます。
- 全ての借金の総額と毎月の支払い額
- 現在の収入
- 臨時収入(ボーナスやインセンティブ、副収入)
- 普段の支出(家賃、公共料金、携帯電話料金、保険代、交通費、食費、交遊費、雑費…)
特に、支出の内訳は非常に細かく聞かれます。
それらの質問が終わると、毎月の収入と支出が出て、現実的な支払い計画が可能か検討されます。
そこで、実現可能な支払い計画が出来れば、任意整理着手となります。
そうして、弁護士が登場します。作成された支払い計画を確認、そして、任意整理を受任する契約書に署名、捺印が行われます。
これで、任意整理の手続きは終了です。
手続きが終了すると、弁護士から債権者へ「受任通知」が発送されます。これを受け取った債権者は、銀行も消費者金融もクレジットカード会社も、債務者本人(つまり借金している人)へ直接の連絡(取り立て、催促の電話も郵送も)が出来なくなります。
私の場合、受任されたのが支払い期日でした。受任通知が発送されて債権者へ届くには数日かかります。そのため、任意整理の受任が決まった後、すぐにカード会社へ電話、弁護士へ依頼、受任されたことを告げました。
すると、以前まで勢いがあったクレジットカード会社の担当者が、
「そうですか…わかりました。確認を取るので弁護士の先生の連絡先を教えてください」
一気にトーンダウン、弁護士の力は強いんだなぁと感じた瞬間でした。
弁護士事務所によって債務整理の手続きの流れは多少違いがあると思いますが、概ね同じようなものだろうと思います。ポイントになるのは、現実的に可能な支払い計画が立てられるか、だと思います。
収入が無いとか少ない、もしくは借金が多すぎるとなると、個人再生や自己破産ということになると思います。
このような手続きを経て行われる任意整理は、借金を整理する手法として有効なものです。ただし、任意整理は借金を帳消しにするものではありません(自己破産は帳消しになります)。あくまで、現実的に返済できる計画を作りそれを実行するものです。
そのため、任意整理をしたからといって突然生活が好転するわけではない、という点にも注意が必要です。
任意整理したからといって生活が楽になるわけではない
任意整理が着手されると、銀行や消費者金融、クレジットカード会社からの連絡はぴたりと無くなります。また、銀行や消費者金融、クレジットカード会社への支払いもなくなります。
ただし、借金の支払いがなくなったわけではありません。弁護士事務所へ支払いを行うことになります。
複数の支払いがある場合、一社一社へ振り込むことになりますが、その総額を一度に弁護士事務所に払うことになるため、振込手数料分、得することになります。
任意整理は、弁護士と債権者との交渉によって和解に至って初めて利息カットや毎月の支払い額などが決定されます。そのため、受任されたからといって任意整理がすぐに終わるわけではありません。
私の場合、複数の債権者がいたこともあり、全て終わるのに4カ月かかりました。
全ての債権者と和解に至り、そこで、その後の毎月の返済金額が決定となります。
個人再生であれば借金を五分の一、個人破産であれば0円となりますが、任意整理の場合、利息分カットが主です。原本も削減できることがあるかもしれないですが、私の場合はありませんでした。全て、利息分カットのみでした。
また、返済期間は、各カード会社によってバラバラですが、3年~5年です。
利息分カットの総額を、返済する月数で割った金額が毎月の返済額となります。そのため、任意整理による毎月の返済額は1~2割減といったところです。
10万円を毎月支払っていたとしたら、8万円~9万円への減額です。
負担が減ることは事実ですが、大幅に返済が減るわけでなく、任意整理後、自身の生活を変えていかなければ、苦しい生活を強いられることになります。
※ 借金の中で過払い金があれば、任意整理でも大幅な減額もしくは逆にお金が戻る場合もあります。
実際、私は、任意整理をした後、生活が苦しくなりました。
任意整理の際に決めた返済計画、そして、家賃や公共料金等、毎月の支出計画通りに行けば返済していけるはずですが、そう上手く計画通りにはいきません。
生活を改める気持ちはあっても、急に180度全てを変えるというのも難しいものです。節約といった言葉とかけ離れた生活を送ってきたのが、わかってはいても、金銭感覚というのをすぐに変えられず、無駄なお金も使ってしまいます。
お金が足りなくなっても、冒頭に書いたように追加の借入も新規の借入もクレジットカードも作れません。
そのため、非常に困った事態になったことが何度もありました。給料日までの間、食費や交通費にも困るといったこともありました。
そのように本当に困った事態になって、ようやく、自分のお金の使い方や生活を改め、何とかやりくりして今に至っています。
任意整理をして一番よかった事
任意整理をしたことで、すぐに楽になったわけでなく、非常に苦しい思いもしました。
しかし、現在は、安定した生活を送ることができており、任意整理たいことは、全く後悔していません。まだ完済には至っていませんが、十分に完済可能な目途がみえています。任意整理後の苦しさは一時的なものです。正確には、一時的な苦しさにすることができます。
私が任意整理をして一番良かったと思うことは、借金を返すという事に向き合うことが出来たことです。
前回の記事で書きましたが、それまで、借金は返すお金でなく、自由に使えるお金という意識がありました。それが、はっきりと返すお金となったのです。
shakkin-knowhow.hatenablog.com
これは、大きな違いであり変化で、変えさなければいけないお金という意識になったことで、生活を改め、節約を心掛け、また、お金を作る方法を考え、それを実行していくことになりました。
任意整理後の苦しみを一時的なものにするにはこうした、任意整理をきっかけとして、意識の変化、そして行動の変化が必要だと思います。
任意整理は、借金の減額や利息のカットなど具体的なメリットによって説明されることがありますが、一番のメリットは、借金を返すという意識の変化を起こすことだと思います。